第5回日本の酒シンポジウム ~日本の酒文化をつなぎ、拓く~ を開催しました
2025年9月10日(水)13時より、鹿児島大学学習交流プラザにて、新潟大学日本酒学センター、山梨大学ワイン科学研究センター、鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センターによる「第5回日本の酒シンポジウム~日本の酒文化をつなぎ、拓く~」を2部制(第1部「講演会」現地会場およびオンライン、第2部「試飲会」現地会場のみ)で開催しました。


特別講演では、東京農業大学の小泉武夫名誉教授に、「ユネスコ無形文化遺産登録を追い風に ― 日本の酒の未来戦略 ―」と題してご講演をいただきました。まず「日本の伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されるまでの経緯について分かりやすくご紹介いただきました。さらに、この登録を契機として、新潟の日本酒、山梨のワイン、鹿児島の焼酎といった日本産酒類がこれから国内外でどのように発展し、特に海外市場への展開にどのような可能性が広がっているのかについて、数多くの示唆に富むお話をいただきました。聴講者にとって、日本の酒文化の未来を考える貴重な機会となりました。

次に、「各センターの取り組みについての紹介」において、各センター長により、日本酒、ワイン、焼酎に関する研究教育の最新の取り組みが報告されました。

また、「日本の酒 最先端研究」では、各センターの最新の研究成果が紹介されました。新潟大学日本酒学センターの西田郁久准教授からは、「酵母のCoQの機能 ― 細胞増殖・生存・発酵との関係 ―」と題して、酵母におけるコエンザイムQの役割と酒造りとの関わりについて発表がありました。続いて、山梨大学ワイン科学研究センターの榎真一助教より、「伝統 × 地域 × 分子 × 現場から切り拓く、甲州ブドウの次世代育種戦略」と題し、分子レベルの知見や現場での実践を融合させた新たなワイン用ブドウの育種戦略が示されました。さらに、鹿児島大学焼酎・発酵学教育研究センターの吉﨑由美子研究教授からは、「中国の蒸留酒との比較から焼酎らしさを研究する」というテーマで、国際的な蒸留酒文化との比較を通して見えてくる焼酎の独自性についてご講演をいただきました。

さらに「日本の酒 飲み方講座」では、日本の酒文化をより深く楽しむための講演が行われました。まず、新潟大学日本酒学センターの西田郁久准教授から「清酒のきき酒について」と題し、日本酒の香りや味わいの違いをどのように感じ取り評価するのかについて解説がありました。続いて、山梨大学ワイン科学研究センターの鈴木俊二教授からは「ワインを愉しむ秘訣」として、日常生活の中でワインをより豊かに味わうための視点や工夫について、ご紹介がありました。さらに、鹿児島大学の鮫島吉廣客員教授からは「焼酎と酒器」と題し、酒器の違いによって広がる焼酎の魅力について、実際の酒器を示しながらご講演いただきました。


その後、第2部として試飲会を開催し、日本酒、ワイン、焼酎を実際に味わっていただきました。また、第1部と第2部の合間には、3センターに所属する学生によるポスター発表が行われ、研究成果について活発な議論が交わされました。発表を行った学生にとっても大変貴重な経験となりました。

