演習林概要

演習林とは?

森林や自然環境に関するさまざまな研究・実習を行うための野外の教室、それが大学演習林です。
もともとは林学系の学生のための施設でしたが、今では学部を越えた全学の学生が利用しています。


沿革

鹿児島大学の前身である国立鹿児島高等農林学校に、1909年12月高隈演習林及び佐多演習林が設置される。 1949年5月の学制改革を経て、鹿児島大学農学部附属施設となり現在に至る。 両演習林の他に学内苗畑、唐湊林園、桜島溶岩実験場の付属地を保有管理している。

写真左:大正3年頃まで使っていた宿舎
写真右:昭和55年まで使っていた宿舎。写真は南寮。現在は取り壊して多目的広場として利用しています。



高隈演習林

概況

 本演習林は、鹿児島市対岸、大隅半島の北部、桜島東方に位置する南北に長く伸びた一団地であり、面積は3,066haである。標高100m~885mで、標高500mを越えるところが半分を占め、急傾斜地も多く随所に滝も見られる。
 ビシャゴ岳(885m)と高峠(722m)を結ぶ稜線が演習林を縦断しており、大隅半島北部の分水嶺となっている。 この分水嶺の東側は高隈川源流域を形成し、志布志湾に向かう丘陵域となり、西側および北部は、鹿児島湾に向かう急傾斜地となっている。 地質は、時代未詳中世代の四万十層、新生代の花崗岩及び溶結凝灰岩が分布する。四万十層は砂岩、頁岩、千枚岩及びチャートの互層からなる。これらの地層の中では、四万十層が大部分を占め、花崗岩は南東部に、溶結凝灰岩は北東部及び南部に小面積で分布している。更に地域全体には、火山灰土及び降下軽石が堆積しており、その推積層の厚さは数m達するところも存在する。

年平均気温は14~15℃、年平均降雨量は2,800mm程度で、串良川流域は特に霧が多く湿度が高い。主風の方向は西または東で、夏季の台風時における北東~南東の風は強烈で集中豪雨に見舞われる事もしばしばで、林地の崩壊や林木の風倒・風折の被害を受ける事も多い。 

 現在、本演習林は1,512haの人工林と1,470haの天然林がある。人工林の大部分はスギ・ヒノキ・アカマツ・クロマツなどで良好な生育を示しているが一部では適地の選択を誤った所など成績不良な林分も見られる。天然林の大部分は広葉樹林で学術参考林や保護林を除けば萌芽による二次林で占められている。本演習林はビシャゴ岳の高所(海抜800m以上)を除いて植物帯上暖帯南部に属し照葉高木林の植生を呈している。七ツ岳山系の原生林とみなして良い学術参考林は樹高20m以上に達し上層では イタジイ、イスノキ、アカガシ、ウラジロガシ、タブノキ、マテバシイなど極めて多くの種類の常緑広葉樹の中にヤマボウシ、カナクギノキ、ウリハダカエデなどの小数の落葉樹を混じている。中層ではサカキ、シキミ、イスノキ、サザンカ、ヤブツバキなどが多い。
 本演習林の2次林を代表する林相の広葉樹林は高峠山系に見られ樹高は15m以上に達し上層ではアカガシが最も多くイタジイ、ヤブツバキ、ヤブニッケイ、シキミ、タブノキなどの常緑樹の中にハマクサギ、アカメガシワ、チシャノキ、エゴノキなどの比較的多くの落葉樹を混じている。中層ではサザンカが多くアオガシ、シキミがこれに次ぎ低木草木層ではアオキ、アオガシ、サワアジサイ、ヤブコウジ、テイカカズラ、サツマイナモリ、オオサンジョウソウ、モミジコウモリ、ベニシダ、ツクシイワヘゴ、イノデなど多くの種類が出現している。



学内施設

実験苗畑

林学研究棟から約50mという近距離に位置し、緻密な実験観測を必要とする研究試験に必須の場を提供しており、 林木の育苗、育種、苗害虫の防除など、主に造林学および育種保護学に関する研究教育によく利用されている。 その他実験材料の育成なども行われている。


唐湊林園

農学部の西方2.5kmに位置し、林木育種及び樹芸試験を行うための実験圃場としての役割を果たしている。 林園は学部に近く、実験苗畑と補完しあって、きめ細かな実験観察林として、研究教育に随時活用されている。


佐多演習林

概況

 本演習林は、前記高隈演習林から南へ直線で約50kmの大隈半島南端、南大隅町に位置し、面積は299haであり、 霧島・屋久国立公園第2種特別地域内にある。

 標高は最高でも212mであるが、東側、西側及び南側一部は海に面し、内陸部は北東方向に3つの尾根が走り演習林ほぼ中央で つながるなど、標高の割には地形が複雑となっている。

基岩は推積岩で、砂岩とシルト岩からなり、土壌は浅い上、硬く乾燥し地味不良である。

 年平均気温19℃、年平均降雨量は1500mm程度で、降霜を見ないところもあるが、季節風が強く台風に見舞われる事も多く、 強く風の影響を受けている。


桜島溶岩実験地

概況

本実験場は桜島の南西海岸にある溶岩台地で、大正の桜島大爆発により以前は海であったところが溶岩台地となったところである。
この実験場は、超長期的視点から不毛の新生溶岩台地が森林化していく過程を観察していく岩石地であり、 現在は、クロマツ、イタドリ等がまばらに点在する程度の植生が進行中である。
桜島周辺の溶岩台地全域は相当広い面積であるが、自然状態で保存された地域は少なく、 本実験場は学術研究上貴重な試験地である。