スマート林業の構築

「森林・林業分野でのICT技術やG空間情報のさらなる活用に向けて」

                  鹿児島大学農学部 寺岡行雄・加治佐 剛

 

○ICTとG空間情報の活用により、林業の課題を克服できないか?

 最もスギの木材価格が高かった1980年以来、木材価格は低下し続けている。木材は国際商品であり、スギの木材価格は100米ドル/m3の水準で推移しており、木材価格の上昇に期待するだけでは状況を変えることは困難である。製造業は、安く作って高く売ることで、いかに収益を多く残す仕組みを作れるかが重要である。そもそも需要があってモノは売れるのであり、市場のニーズ(需要)に確実に供給できる生産体制であるべきである。

素材生産業は原木を作るまでの仕事である。採材は直・曲がり具合を勘案し、径級にあわせて原木の長さを決める作業であり、最終的な商品としての木材価格を決める重要な作業である。しかし、素材生産の現場では、その原木がどこで誰が何の部材として使うのかを正確に把握している事例が稀である。素材生産業も、需要に対応したデマンドプル型の生産体制とすることが必要であり、ICTとG空間情報を活用することで、林業の課題を克服できないか考えている。流通コスト、需要者側の在庫や調達コストを下げることで、素材生産や森林所有者の収入を増やす可能性があるのではないだろうか。

 

①地域資源を活用した新しい林業(儲かる林業)を作る
②安全で高い生産性、収益性をもつ木材生産

③地域経済循環に貢献

そもそも需要があってモノは売れる(Demand-Pull)

安く作って,高く売る→収益を多く残す仕組み

市場のニーズに確実に供給できる体制つくり
  →定時・定量・定質を欠品なしに供給

④SCM(サプライ・チェーン・マネージメント)
  →需要情報を生産者に伝えるICT

⑤物流体制
  →生産地情報(G空間情報)の活用

⑥省力化、生産性の向上
  →新しい技術、考え方の導入

 

○スマート林業の目指すところ

①高精度森林GISデータベースの構築
 ・クラウド化(林野庁事業で実証試験中)→社会実装・サーバー運用
 ・高精度森林情報の体系的な収集
   →森林内位置情報の精度向上(マルチパス問題)の技術開発
   →国土全土の定期的な航空レーザ測量(技術開発+コストダウン)
   →地上レーザ測量(技術開発+コストダウン)

②森林クラウド技術を中核とした多面的で重層的な分析・評価システム
 ・森林クラウドによる森林管理水準の高度化
 ・森林計画の樹立(資源情報の管理・可視化)
 ・適切な森林施業の推進と木材供給量の予測

③需要情報と生産情報のマッチング
 ・再生産可能な木材価格の確保(戦略的な木材生産の実現)
 ・木材の安定確保・木材集荷コストの低減
   →儲かる林業で雇用を創出し、地域の自立に寄与する 

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